満足度:80%【ランク高】
あらすじ
高校生のピーター・パーカー(トム・ホランド)は夏休みを迎え、親友のネッド(ジェイコブ・バタロン)やMJ(ゼンデイヤ)たちとヨーロッパへ旅行に行く。ところが、ピーターの前にS.H.I.E.L.D.の長官ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が現れ、彼にある任務を与える。
本作感想の前に

本作はアベンジャーズ エンドゲームを視聴していることが前提で制作させている映画であり、本作はその流れを組むフェーズ3の最終的なランディング作品となっています。
ファンの間ではその意味を色々と考察したものですが、視聴した後、やはりというか、なぜこの作品がフェーズ3の最終作であったか、納得のできる作品に仕上がっています。
そもそも、トム・ホランド版(MCU版)のスパイダーマンは、初登場がキャプテンアメリカ シビルウォーだったため、その存在自体がアベンジャーズの為にあったと言っても過言ではありません。
その後制作された単独映画スパイダーマン ホームカミング でも、アイアンマンLOVEが半端ないし、そもそもスーツもスターク製となっており、アベンジャーズ(というかアイアンマン)のための映画になっていました。そういう意味では、キャプテンアメリカと近いかもしれませんね。
正直、これまではちょっとそれがやり過ぎではないか、という感覚を持ってました。アメコミの中で、スパイダーマンの人気や伝統性はバットマンやスーパーマンと同格であり、寧ろアイアンマンの方が格としては下でした。それをアベンジャーズが大成功したことで、ここまで扱いを変えて良いものか、と。
ただ、スパイダーマン自体の実写化は2度為されていることもあり(それ以前は正直カウントしない笑)、それぞれもヒットを記録。なのでこのようなバージョンもまあ、アリだなというくらいの感覚で、私にとっては、そこまで思い入れの無いスパイダーマンが、トムホランド版(MCU版)でした。
しかし本作では、いよいよアベンジャーズという土地に撒かれた種が開花し始め、独自の魅力的なスパイダーマンが垣間見えました!
MCU版スパイダーマンの誕生作
私としては、上記のように本作を位置づけました。前作及びアベンジャーズシリーズへの参戦は、あくまで本来のスパイダーマンを養成する期間であり、学校的な要素が強かったのかなと。
当初ここまでを見据えていたかはわかりませんが、トムホランド版スパイダーマンは、これまでで一番「子ども感」が強いスパイダーマンです。友人たちも子どもなら、本人もまだまだ子ども。「普通に遊びたい」「普通に恋愛をしたい」という感覚が強く、自分のスーパーパワーとどう向き合っていくのかを考えないようにしています。
しかし、もう彼の気持ちを理解し、サポートをしてくれる最大の「保護者」トニースタークはもういません。本作では、トニー(アイアンマン)亡き後、彼がどうしていくかの覚悟を垣間見れる作品ですが、おそらく単体の映画ではここまでのバックボーンを作れなかったでしょう。
アベンジャーズシリーズで、しっかりと「子ども」としてのスパイダーマンを描いておくことで、「大人」へのステップアップに共感を覚え、彼がアベンジャーズの中心になることを、誰もが自然と受け入れられるような流れにもっていったのだと推測します。
よく考えれば、元々ピーターパーカーは機械工学系の秀才ですし、アイアンマンと相性は良いんですよね。アイアンマンの「代わり」ではありませんが、彼の作ったギミックを使いこなすには良い人選なのかなと。
ある意味サノスよりも強力な敵が相手
さて、その成長を促す相手がもちろん本作のヴィランになるのですが、正直に言うと、サノスやその他MCU作品のボスなどに比べると、今回のヴィランは格段にそのレベルが下がります。
しかし、今のスパイダーマンにはある意味サノスよりも厄介な相手が今回のヴィランです。
なぜならば、彼が「子ども」だから。「大人」として、そして「スーパーヒーロー」として、自分の「軸」を持たなければ勝てない相手であり、だからこそスパイダーマンの成長を促すのにうってつけの相手。
ファンであれば、おおよそ想定できるヴィランですが、今の時代と作品にマッチした良いヴィランが相手でした。
ファー・フロム・ホームの意味

本作のサブタイトルは「ファー・フロム・ホーム」であり、直訳すると「故郷を離れて」という意味になるそうですが、視聴後に振り返っていると、これは単純にヨーロッパ旅行が舞台だからという意味だけでは無いようです。
作中でピーターはしきりに「僕は○○でいたいのに」という言葉を口にします。
スパイダーマンというキャラクターの根本にある、アイデンティティにかなり関わってくることであり、実はそれが今後のMCU版スパイダーマンのポイントなんだなと感じる部分でした。
これまでのスパイダーマンとの違い
個人的にはアンドリュー・ガーフィールドが演じたアメイジングスパイダーマン2が、スパイダーマン系列の最高傑作だと思っています。演出やピーターの葛藤、そしてラストも非常に良かった。
ただ、展開次第では今後、トムホランド版(MCU版)が追い抜く可能性も十分アリだなと思える期待値がありました。その理由が上記のファー・フロム・ホーム部分にあります。
トビー・マグワイア版もアンドリュー・ガーフィールド版も好きですが、これらはあくまでどちらも「原作スパイダーマン」の域を出ていないものになります。普通に考えればそりゃそうなんですが、トムホランド版(MCU版) はアベンジャーズという土台があることにより、誰も見たことのない「新生スパイダーマン」を作れる可能性があります。
楽しみがまた増えますねー。
まとめ:新たにMCUを追いかける皆さんは必見!
相変わらずマーベルのヒーローものは完成度が高く安心できますね。笑
今後のMCUにおける重要なターニングポイントですので、ファンは当然必見ですね。
アベンジャーズシリーズの流れを組んではいますが、この作品はスパイダーマン単独作品のため、ライト層でも楽しめるでしょう。前作のスパイダーマン ホームカミングとインフィニティウォー、エンドゲームを観ていると内容がよくわかります。
今後、ちょっとずつ追いかけていきたい人にはちょうどいい作品かもしれません。
概要・キャスト
URL: http://www.spiderman-movie.jp/
監督 ジョン・ワッツ
キャスト
トム・ホランド
サミュエル・L・ジャクソン
ゼンデイヤ
コビー・スマルダース
ジョン・ファブロー
原題 Spider-Man: Far From Home
製作年 2019年
製作国 アメリカ
配給 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
上映時間 135分
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