満足度:74%【ランク中】
あらすじ
イギリス郊外の町で両親の愛を得られずに育った少年レジナルド(レジー)・ドワイトは、唯一、音楽の才能には恵まれていた。やがてロックに傾倒し、ミュージシャンを目指すことを決意したレジーは、「エルトン・ジョン」という新たな名前で音楽活動を始める。そして、後に生涯の友となる作詞家バーニー・トーピンとの運命的な出会いをきっかけに、成功への道をひた走っていくが……。

私の知識レベル
長澤まさみと同年代な私であるが、正直エルトン・ジョンは親父世代に活躍した方であり、正直そこまで詳しくは知らなかった。もちろん名前は知っているが、知っている曲名といえば「Your Song」くらいだった。
正直、ゲイであったことも映画視聴前に親父から聞かされるレベルで、「何ネタバレしてくれてんだ」と常識レベルのことで逆切れしそうになったくらいだ。
何かと比較される ボヘミアン・ラプソディを視聴した時よりも、事前知識は薄かったように思われる。しかし、それでもミュージカル調に仕上げられた本作は、十分楽しめるものであった。
様々な努力の跡が見られる良質な映画

どうしても ボヘミアン・ラプソディと比べられてしまうだろうが、正直アレを期待して観に行ってはいけない。というのも、全く趣向が違うものになっているからであり、どちらかと言えばミュージカルを観に行くつもりの方が良いだろう。
視聴後のエンドロールで知ったが、本作はエルトンジョン本人が製作総指揮を担当しており、ミュージカル調の演出は、曲に重きを置いてもらうために彼が出した案だそうだ。
私は元々ミュージカルが得意で無いので、作品冒頭は「ちょっと微妙かも」と思っていたが、視聴してみると、なるほどこの方が良かったかもしれないと納得した。
というのも、エルトン・ジョンの人生は非常に長い期間「暗い」側面が多い。ビッグスターになった後も基本的にステージ以外は「暗い」。その側面を中心に描いているので当たり前なのだが、ドラマシーンはシリアスに、ステージシーンだけ曲を挟む、などという構成にするとかなり単調になっていただろう。そこで、感情を深く掘り下げたり、場面を転換させるアクセントとしてミュージカルを使っている、というイメージだ。
多くの映画に取り入れられている手法だが、今回は殊更この手法と相性が良かったと思う。
エルトン・ジョンの奇抜なファッションやステージ衣装を、ここまで多種多様に準備したところも大変だっただろうに…。エルトン本人が携わっているからかもしれないが、音楽面や演出面での再現度はかなり高いと思われる。
タロン・エガートンはやはり良い

また、努力という点で観れば、やはりタロン・エガートンは良い。役作りや演技だけでなく、今回は エルトン本人から指導を受けたという、その美声もすごかった。
個人的に良かったのは、表情・顔での表現だ。ステージで傾奇者を演じるエルトンの顔、プライベートな顔、恋人が来た時の嬉しそうな顔など、コロコロと表情を変えるのは、まさにエルトン本人と同じ。妙に際立っていて、彼にしか焦点が行かない。何かと目に留まってしまう、という点がビッグスターを表現していたのかなとも思う。
少々綺麗にまとまりすぎたかもしれない
ミュージカル調にして良かった点もあれば、悪かった点もある。 個人的な満足度が低い理由はここにあるのだが、個人的にはカタルシスを一気に解放できるシーンが欲しかった。
ミュージカルシーンで、少しずつその感情発散させていくため、カタルシスを小出しにしていくように感じたのだ。泣き所やうおぉと高揚するシーンが散在していて、ここだ!というポイントが無いように思えた。
まとめ:音楽好きなら楽しめそう
『“酒とドラッグとセックス ”を地で行く、ゲイの天才ミュージシャンのお話をミュージカル調で』という文章の羅列で興味を持ったあなたは、行っても十分楽しめるだろう。
この記事を編集時に拾ったが、史実と異なる部分も結構あるとか?ただ、観ている側としては気にならず、エルトン本人がどう苦悩していた映画か、という点は良く伝わってくる作品なので、その観点と音楽を楽しもう。
概要・キャスト
公式サイト:https://rocketman.jp/
監督 デクスター・フレッチャー
タロン・エガートン
ジェイミー・ベル
リチャード・マッデン
ジェマ・ジョーンズ
ブライス・ダラス・ハワード
スティーブン・グレアム
テイト・ドノバン
2019年製作/121分/PG12/イギリス・アメリカ合作
原題:Rocketman
配給:東和ピクチャーズ
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