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満足度:67% 荒野の誓い 感想【ネタバレなし】

満足度:67%【ランク中】

あらすじ

1892年、インディアン戦争の英雄で現在は刑務所の看守を務める騎兵大尉のジョー(クリスチャン・ベイル)は、かつての敵で余命わずかなシャイアン族の長イエロー・ホーク(ウェス・ステューディ)とその家族を居留地まで送る任務に就く。道中コマンチ族に家族を惨殺されたロザリー(ロザムンド・パイク)も加わり共に目的地を目指すが、襲撃が相次ぎイエロー・ホークと手を組まなければならなくなる。

何でもできる男、その名はクリスチャン・ベール

(C)2017 YLK Distribution LLC. All rights reserved.

私が好きな俳優さんの一人として、必ず上げさせてもらうのがクリスチャン・ベールだ。そのアイルランド系の顔やダンディな声も好きだが、彼の場合、役に対して妥協のないアプローチを行うところが、私の最も好きなポイントかもしれない。(マシニストはやりすぎちゃったけど)

今回の役は、アメリカン・ハッスルやバイスほど身体的にかけ離れた困難な役柄ではなく、どちらかというと基本状態の彼に近い風体の役柄ではあるが(こういう表現をするのも、もはやオカシイのだが。汗)、今回の役作りも完璧だ。

1800年代後期の、威厳のある中年アメリカ軍大尉をしっかりと表現している。主人公が抱える内面の葛藤や、発言した言葉に対する背景を、演技でしっかりと観客に理解させることができる。 それだけで、この映画は「あ、ちゃんと観れる映画に仕上がっているんだな」という安心感を与えてくれる。

この万能感は、並の俳優では出せないと勝手に思っている次第だ。

円熟味のある、大人の映画

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さて、そんな映画の内容だが、銃撃戦などはあるものの、どちらかというと主人公や登場人物の葛藤に焦点をあてる、ヒューマンドラマになっている。スターバックスで例えると、ベイクド・アップル・ピンク・フラペチーノなんかじゃなく、プレスされた苦みを味わうコーヒーのような、大人の映画である。
ちなみに前者はラ・ラ・ランドみたいなイメージだ(どうでもいい)。

大人の映画とは何か。個人的意見では、一言でいうと「考えさせられる映画」のことだと思っている。

もちろん、大半の映画がそうではあるが、大人の映画は「結果として考えさせる」のではなく「考えてもらうこと」を目的に作られた節がある。そういう映画を私は「大人の映画」と呼んでいる。

本作は、アメリカ人にとっては自らのアイデンティティを大きく揺さぶられるであろう、西部開拓時代を題材にした話だ。それも、開拓の時代が終焉に向かい、アメリカ人が自らの行為を「侵略」であったと、朧げに認識し始めた頃の話だ。

主人公であるジョーは、開拓時代にバリバリと仕事=侵略を行い、アメリカの開拓を推し進めた功労者の一人である。しかし、時代の風向きも変わり、正義だと思っていた行為は守るべき民衆から非難され、己の罪悪感を蝕み始める。しかし、相手に仲間や友人を殺されたという恨みは決して消えない。

それは彼の同僚も同じで、誰もがその鬱屈とした感情を持っている。それが物語の軸となっている。

また、家族を襲われたご婦人の登場は、その軸を表面化させるかなり強烈な楔にもなっており、物語の軸をより強固なものにしている。

アメリカ合衆国の後悔と傲慢

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100年以上前の話ではあるが、私はここに、アメリカ合衆国の謝罪の念が込められているように感じる。詳細は言わないが、主人公と敵側の酋長との関係性が徐々に変化していく。

お互い、殺しあったという過去を踏まえて、我々はどうしていきたいのか、という謝罪の念と未来への提案が込められた映画である。

物語終盤の会話にその問答が行われる。そこでは、互いの真摯な言葉と態度が見えるのだが、アメリカらしい若干の傲慢さが含まれていると感じるのは私だけだろうか。

とはいえ、苦難を乗り越えたそのシーン自体には納得するし、感動もするのだが。

人間は、人を殺すようにはできていない

このような映画を観ると、つくづく人は、人を殺すようにはできていないのだと思える。人を殺して、何も感じない人間は、もはや人間ではない。その行為に「慣れてしまった」と思っていても、ゆっくりと体と心を蝕んでいく。

戦争という行為の愚かさを忘れないためにも、定期的にこういう映画は見た方が良いなと思う。

まとめ:争いではなく手を取り合うために

上記のような背景の裏に、どう彼らの関係性が変化するのか。時代は変わるのか、憎しみは消えるのか。その変化をピュアに楽しめる映画になっている。

観る際は、最近ちょっと調子に乗っている同僚とかを誘ってみるといいかもしれない。自分の行いをふと振り返るきっかけになるだろう(しみじみ)。

概要・キャスト

監督 スコット・クーパー

クリスチャン・ベール
ロザムンド・パイク
ウェス・ステューディ
アダム・ビーチ

17年製作/135分/G/アメリカ
原題:Hostiles
配給:クロックワークス、STAR CHANNEL MOVIES

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