満足度:71%【ランク中】
あらすじ
地球外知的生命体探求に尽力した父(トミー・リー・ジョーンズ)の背中を見て育ったロイ・マクブライド(ブラッド・ピット)は、父と同じ宇宙飛行士の道に進むが、尊敬する父は地球外生命体の探索船に乗り込んだ16年後に消息を絶つ。あるとき、父は生きていると告げられ、父が太陽系を滅亡させる力がある実験“リマ計画”に関係していたことも知る。

男のロマンと孤独と宇宙
皆さんは、スペースワールドをご存じだろうか。福岡県北九州市にあった、宇宙をテーマとした遊園地だった。現在は大人の事情で廃園になっているのだが、私は子どものころ、そのテーマパークが大好きであった。
まるで宇宙へ冒険に行ったかのようなアトラクションは刺激的で、子どもがいつか宇宙へ行ってみたいと想わせるには十分な施設であった。(まあ、廃園前はあんまり宇宙関係なくなってきてたけど…)
本作のアド・アストラは、そんな宇宙を夢見ていた、子どもの頃の自分がふと顔をのぞかせるような、何ともロマン溢れる作品に仕上がっている。
設定は近未来。現代にもある現実的な機械や建物群を用いて、月や宇宙での活動を非常にリアルに見せてくれる。大げさな表現や特殊な技術もほとんどなく、実際に訪れそうな未来を描いているため、未来の宇宙はこんな感じなのかとワクワクする。
現在のハリウッドが本気を出した「大人の宇宙冒険もの」が本作のイメージと言えよう。
ミステリーじゃないよ
予告では、ミステリーやパニックものの印象を受けるが、本作はどちらかというと本当に探査、つまり冒険がメインの映画である。それがどういうことかというと、人間成長をテーマに掲げているということだ。
父親を捜す旅を通じて、息子が成長する映画であり、そこに年齢は関係ない。
まあ、強いて言うなら大人の成長なので少々荒っぽい場面もあるが、そういう人のつながりや成長を楽しむ映画と思って鑑賞してもらいたい。
静かなる旅路

本作は、仕事で疲れているときはあまりお勧めしない。なぜなら、リアルな宇宙ものにありがちな、静寂な時間が訪れやすいからである。
その静かなシーンもワビサビを感じることで楽しめるのだが、いかんせん疲れはどうしようもないので、体力が8割方残っているときの鑑賞をお勧めする。
名優、老いて尚、眼光鋭く
本作は、基本的に主人公のブラッド・ピットだけに焦点が当たって進んでいく。 共に冒険をする感覚を共有したかったのだろうか、記憶を辿っても、彼が出ていないシーンは無かったと思う。そんな映画において、父親役のトミー・リー・ジョーンズの存在感は凄かった。
勿論、ブラピの演技は素晴らしかった。表情だけで様々な情報を語る演技は、さすがハリウッドを代表する名優。しかし、トミー・リー・ジョーンズが出てきた際の、あの狂気を感じさせる眼光は、個人的にかなり印象に残っている。
73歳になるジョーンズさんだが、MIB3のアクションで全く動けておらず、正直少しがっかりしたのだが(いや、しょうがないけど)、こういうドラマ方面の演技になると、まだまだ強い存在感を放つ。
良い俳優は目で語るというが、それを完璧にこなす二人は流石の一言だ。
まとめ:女子ウケは悪そうな、男のロマン的映画

「リアルな宇宙」「親父との壁」「辺境への冒険」「孤独な男」といった要素が本作は満載であり、これから導かれることは、どっちかというと男の子向けの映画であるということだ。
彼女と行っても「え、何が面白いかわからん」と言われそうな気がするし、ブラピ様に心を奪われる可能性もあるため、カップルにとっては非常に危険な映画と言えるだろう。
ただし、女性でも色々と映画を観ており、経験値が豊富な方には楽しめるポイントが沢山あるため、むしろお勧めだ。
概要・キャスト
監督 ジェームズ・グレイ
ブラッド・ピット
トミー・リー・ジョーンズ
ルース・ネッガ
リブ・タイラー
2019年製作/123分/アメリカ
原題:Ad Astra
配給:20世紀フォックス映画
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