満足度:90% ホテル・ムンバイ 感想【ネタバレなし】

満足度:90% ホテル・ムンバイ 感想【ネタバレなし】

満足度:90%【ランク超】

あらすじ

身重の妻と小さい娘がいるアルジュン(デヴ・パテル)は、インド・ムンバイの五つ星ホテル、タージマハルで、厳しいオベロイ料理長(アヌパム・カー)のもと給仕として働いていた。2008年11月26日、ホテルには生後間もない娘とシッターを同伴したアメリカ人建築家デヴィッド(アーミー・ハマー)や、ロシア人実業家のワシリー(ジェイソン・アイザックス)らが宿泊していた。 そのホテルを舞台に、恐ろしいテロ事件が起こる。

あくまで映画としての素晴らしさを記述する

本作は、実際に起こったインドのテロ事件を題材にした作品である。犯人はイスラム原理主義者となっており、もはや資本主義国においては悪の象徴のような犯人だが、だからと言ってイスラム教徒全体が非難されるべきでもない。

宗教観と映画批評は分けてお伝えしたいと思っているため、ここでは映画の感想だけに絞ってお伝えする。

事実は小説よりも…

さて本題に入るが、本作は上記の通りインドの9.11とまで呼ばれる、非常に陰惨な同時多発テロ事件を基にしている。その同時多発テロにおいて、惨劇の舞台となったタージ・マハル・パレス・ホテルでは、当時500人の人質が巻き込まれたにも関わらず、死傷者は32名という奇跡的な少なさで事件を切り抜けた。

そして、その死傷者の半分は、ホテル宿泊者を逃がそうと、あえてホテル内に残ったスタッフ達だという。

彼らはジョン・マクレーンでもなければ、ランボーでもない、コックや給仕などを生業としている、いたって普通の人々であり、銃撃戦が始まってすぐであれば、逃げられた者が大半だ。それでも、「お客様は神様だから」という言葉に優しさをこめて、テロ事件に立ち向かっていく。

その彼らが見せる勇気と、宿泊客の人々が一致団結して危機に立ち向かう姿が、本作の軸だ。

また、この死傷者32名という数字が“多い”と思う方は、是非映画を観てほしい。全員が殺されていてもおかしくなかったと思えるほど、陰惨なテロだったため、映画鑑賞後はよりこの数字の重みが分かる。

ポイント①:テロのリアリティ

本作はとにかくリアルだ。まず何といっても、当たり前の日常が、突然の銃撃で変貌してしまうその様相が凄まじい。「接客をしていたら」「食事をしていたら」「お風呂に入っていたら」…銃撃が始まっていた、というテロの恐怖そのものの表現に、とてもリアリティがあった。

私たちの日常も、ひょっとしたらあっという間に崩れてしまうのではと、イヤでも想像させられる。私が勤めている会社は、海外へも良くいくため、結構リアルにイメージできるのだが、渡航先でテロに巻き込まれないとも限らない。

そのリアリティが強い中で人々が行動するため、観ている側の喜怒哀楽が全て倍増されている。

ポイント②:展開の読めない恐怖

実際の事件を基にしているため、ご都合主義が通じない点、犯人の思考が我々の理屈では理解できない点が、映画になるとより際立ち、先読みをさせてくれない。犯人側の理屈によって生死が決まる為、重要そうな人物も、殺されるかどうかが本当にわからない。

その結果、下手なホラーよりも緊張感がある映画になっており、テロのリアリティを伝える補助機能となっている。

素晴らしいキャストと人物描写

登場人物全員が素晴らしい役柄を演じているのはもちろん、人物描写が細かく、そこもリアリティを生んでいる一つのポイントだ。

特に素晴らしい描写だったのが、映画中盤、活躍するホテルスタッフのひとり「アルジュン」が、VIPの淑女へある説明をする場面がある。それはある要望に対して、彼が丁寧に説明をして、理解を促す。というものなのだが、そこで明らかに二人の信頼関係が構築される。人種の隔たりはこのように解決すべきであり、人とはかくあるべきと考えさせられる場面だ。

また、 描写するのはテロリスト側にも及んでおり、テロに至る若干の背景も垣間見える。やったことが許されるわけではないが、彼らもある意味被害者であることが、本作では伝えたかったのかもしれない。

余談だが、「アルジュン」役のデーヴ・パテールが、スラムドッグ・ミリオネアで主演していた男の子だったと知ってびっくりした。時が経つのは早いなぁ…。

まとめ:何見ようか迷っている人へ、是非お勧めしたい。

悲しい事件を題材にした映画だが、人の勇気や優しさといった点が題材になっているため、鑑賞後は思ったよりも気持ちが晴れている。

ネタバレしてしまうと非常に勿体ないので、伝えられることが少ないのだが、大人であればかなり幅広い方々におススメできると思う。

日常の素晴らしさがいかに大切か、思い知らされる映画であり、是非一度はみなさんに観てほしい映画だ。

※記事画像提供元: (C)2018 HOTEL MUMBAI PTY LTD, SCREEN AUSTRALIA, SOUTH AUSTRALIAN FILM CORPORATION, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREENWEST INC

概要・キャスト

公式URL: https://gaga.ne.jp/hotelmumbai/

2018年製作/123分/R15+/オーストラリア・アメリカ・インド合作原題:Hotel Mumbai
配給:ギャガ

監督 アンソニー・マラス

デーヴ・パテール
アーミー・ハマー
ナザニン・ボニアディ
ティルダ・コブハム=ハーベイ
アヌパム・カー
ジェイソン・アイザックス

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