満足度:90% JOKER/ジョーカー 感想【ネタバレなし】

満足度:90% JOKER/ジョーカー 感想【ネタバレなし】

満足度:90%【ランク超】

あらすじ

「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに秘かな好意を抱いている。笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気溢れる<悪のカリスマ>ジョーカーに変貌したのか。衝撃の真実が明かされる。

“覚悟せよ、度肝を抜かれる”

このキャッチコピーは「ダークナイト」公開時に、どこかの新聞社か雑誌社が同作に送った言葉だが、私の感想とぴったりだったため、現在でも妙に覚えているコピーだ。そして、本作「JOKER」鑑賞後に敢えて皆さまに伝えておきたい。このコピーを再び思い出す日が来るとは思ってもみなかった、と。

アメコミにシリアスさとリアルさを吹き込んだ、歴史的傑作がダークナイトなのだが、そのダークナイトの完成度に最も貢献したのが、私の大好きな、ヒース・レジャー版のジョーカーだ。

彼のジョーカーはコミックの設定とは大きく異なり、その存在自体がミステリアスだ。どこから来た、どこの誰なのか、警察ですら知ることができない。ただ、ひたすらにバットマンという最高のおもちゃで遊びながら、恐怖と死をゴッサムシティにまき散らす存在。それが、ヒース版ジョーカーだ。

ただ、ヒース版のジョーカーは、あくまで対バットマンの悪役であり、それ単体で物語が出来上がっているわけではない。作中で本人も言っていたが、バットマンありきの存在だ。

しかし本作はそれは異なる、JOKER自体の誕生譚であり、“バットマン”はまだ存在していない。それがどういうことかというと、ヒース版が敢えて避けることでその存在感を強めていた「JOKERが生まれた理由」という、パンドラの箱を開けるに等しい行為を行ったのだ。

悪役の誕生譚を作るという賭けに勝つ

まず、本作は決してアクション映画ではないことをお伝えしておこう。本作はドラマであり、ドキュメンタリーのようであり、ホラーのようであり、そして最狂のコメディだ。

本来、バットマンものにアクション描写は必須だ。ウルトラマンや、仮面ライダーを観ていて戦闘シーンがないようなもので、戦闘シーン無くしてその作品が面白くなるとは思えない。

しかし、本作はそれをやってのけた。これはパンドラの箱に一つだけ残されていた「希望」を掴み取ったにも等しく、爽快な戦闘シーン無しでJOKERを描き切るというウルトラCをやってのけた。

ヒース版とフェニックス版では楽しみ方が異なる

ヒース版はあくまで悪役であり、その突飛な行動や言動、次に何をするかという期待感、そしてそのやられっぷりを存分に楽しむことができる。その役割自体は、実はとてもシンプルだ。

しかし、今回のフェニックス版JOKERに関しては少々複雑だ。まず、本作ではこれまでのシリーズのように、上から目線で弱者から搾取する側ではない。搾取“される”側になっている。そのどん底において経験する、怒り、悲しみ、狂気などの、抑圧していた負の感情が徐々に解放されていき、爆発する。その様相を見届ける映画だ。

負の連鎖による感情の爆発の果て、彼が何者になるのかを見届けてほしい。

その瞬間を待て

本作の前半部分は、淡々と悪いことが続く様を観せられるだけで、正直そこまで傑作と呼べるレベルのものではない。

しかし、後半に差し掛かろうというところで、何かのスイッチが入る。視界がぐにゃりと捻じ曲がるような感覚をもって、ストーリーが邪悪な方向へと徐々に、そして止められない速度まで加速していく。

気が付けば目を離せない状況になっており、凄まじいラストへ向かい始める。その感覚が何とも気持ち悪く、そして最高に緊張する。

ホアキン・フェニックスによる、大圧巻の演技

主演のホアキン・フェニックスは、狂気、孤独、怒り、笑い、すべての表現が完璧だ。ここまで、すべての感情をひっくるめて演じきった役者さんがどれぐらいいるのだろうか、と思うほどに素晴らしかった。

役柄そのものが難しい上に、ジョーカーという大役のプレッシャーの中で、キャリア最高とも言える演技。アカデミー賞確実とは少々大げさではないかと思っていたが、これは納得である。

キング・オブ・コメディとの類似点。

Twitterのフォロワーさんも言っているが、ロバート・デ・ニーロ主演のキング・オブ・コメディと冒頭の設定が酷似している。しかし、ここは監督も公表しており、事前にデ・ニーロなど関係者にも伝えている。パクリというよりは、敬愛からの一部オマージュであり、未鑑賞の方は特に気にする必要は無いので、一応言っておこう。

まとめ:全ての方へお勧めできるわけではないが、まごうことなき傑作

ちょっと重めのドラマ系映画で感動したことがある人へは、自身を持ってお勧めするが、アクションなどを期待している人にはお勧めしない。

私もどちらかというとアクション要素も期待していったが、良い意味で裏切られた。鑑賞後になんと言っていいかわからなくなったが、凄かった、という言葉は間違いなく添えていいと思う、とても疲れる傑作であった。

概要・キャスト

公式URL: http://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/

監督 トッド・フィリップス

ホアキン・フェニックス
ロバート・デ・ニーロ
ザジー・ビーツ
フランセス・コンロイ
ビル・キャンプ

2019年製作/122分/R15+/アメリカ
原題:Joker
配給:ワーナー・ブラザース映画

記事写真参照元: (C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

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