満足度:74% ガリーボーイ/Gully Boy 感想【ネタバレなし】

満足度:74% ガリーボーイ/Gully Boy 感想【ネタバレなし】

満足度:74%【ランク中】

あらすじ

ムラド(ランヴィール・シン)は、雇われ運転手の父を持ち、スラムに暮らす青年。両親はムラドが今の生活から抜け出し成功できるよう、彼を大学に通わせるために一生懸命働いていた。しかしムラドは、生まれで人を判断するインド社会に憤りを感じ、地元の悪友とつるみ、内緒で身分の違う裕福な家庭の恋人と交際していた。ある日大学構内でラップをする学生MCシェール(シッダーント・チャトゥルヴェーディー)と出会い、言葉とリズムで気持ちを自由に表現するラップの世界にのめりこんでいく。そして“ガリーボーイ”(路地裏の少年)と名乗り、現実を変えるためラップバトルで優勝を目指す事を決意する。

改めて感じる“ラップ”の可能性

ラッパーのサクセスストーリーというと、「よくある話じゃん」と思うが、その舞台が「インド」と聞いて一気に「なんだそれ?」と興味を惹きつけられてしまったのが、ガリーボーイを鑑賞した理由だ。

ラップがインドでも流行ってるなんて、全然知らなかったし、正直なところ未だに “ 踊るマハラジャ”なイメージの方が強いのが本音だ。

しかし、本作を観て理解したが、身分と貧富の差が激しく、スラムが存在するインド=ムンバイでは、本家ヒップホップが誕生したNYの状況に近しく、「抑圧からの解放」という意味では、確かにラップが流行る土壌があったのだとわかる。

現状を打破したい者たちが、自らを表現するための手段がラップであり、そこに言語は関係ないのだなと本作では改めて思わされる。

音楽は非常に良いのに、言葉が分からないもどかしさ

そんな本作の音楽は、当然のことながらラップが中心であるが、これが新鮮で非常に良い。英語でも日本語でもない、ヒンディー語・ウルドゥー語が混じったリリック(歌詞)での音遊びは心地よい。今まで聞いたことのない感じがする。

それだけに、我々がリリックの意味を理解できないのが非常にもどかしいところ。上手いことを言っているのだろうが、日本語訳にしてしまうと意味は分かれども「上手い!」と合いの手を入れたくなるような、ラップ独特の感覚は無くなってしまう。

こればっかりはしょうが無いので割り切るしかないのだが、ガチの有名ラッパーのプロデュースということで、音遊びだけでも比較的楽しめることは間違いない。

モデル:Naezy×プロデュース:NAS

と、聞いても大半の日本人は分からないだろう。かく言う私も本作を観てから色々調べたクチだ。せっかく調べたのでちょっと紹介しておこう。

本作のモデルとなったNaezyは、まだ決して大きな市場とは言えない、インドのヒップホップシーンのパイオニアであり、主人公と同様の環境から、自作した一つの動画から成りあがった人物である。私も視聴したが、その完成度は決して高いとは言えない。しかし、非常に熱量があるMVであり、同じ境遇の人々の心に深く突き刺さるものだった。

また、本作のプロデュースを手掛けたのは、数々の実績を持つ、米国ヒップホップ界の重鎮NAS。ファーストアルバム「Illmatic」はヒップホップの歴史に燦然と輝く名アルバムであり、現在も影響力のあるアーティストの一人だという。

彼らの化学反応が見え隠れするのが、ガリーボーイの魅力だ。インドのヒップホップを中心に、本場の表現力が加わったものが見える、思ったよりも新鮮な映画に仕上がっており、終盤に向けてのラップバトルは中々見ごたえがある。

最近のインド映画は非常に良い

本ブログでも、インド映画やインドを題材にした映画をいくつか取り上げているが、どれも非常に良質な映画ばかりだった。上記では踊るマハラジャなんて言ったものの、かつてのダンスありきなイメージはもはや私の中には無く、ここ最近では観たい映画の候補に、ごく普通に入ってくる。

その理由を少し考えてみたのだが、個人的にひとつ思い浮かぶことがある。それは、現代の日本や米国(というかハリウッド)などでは表面上無くなっている「身分の差」を題材にしているという点だ。

カースト制度が根強く残っていると思われるインドでは、格上の人間の名前すら呼べないという、我々の想像を絶するほどの身分格差が今なおある。皮肉なことに、近代インドの若い世代が持つ、それを打破しようというエネルギーが、近年のインド映画には満ちており、我々にはそれが新鮮に映るのだ。残念なことだが、それが今のインド映画の面白さの大きな要因であると私は思っている。

自分に何ができるというわけではないが、せめて映画を観た感想を発信することで、微力ながら彼らの思いが多くの人に伝わることを願う。

まとめ:8mileが好きだった人はたぶん好き

なんだか、白人ラッパーの先駆けとなったエミネムが主演した、8mileを個人的には思い出していた。あちらもマイノリティのラッパーが成り上がる話だが、実力で周囲の協力や応援を得られるようになっていく様はやっぱり魅力的だ。

8mileはアメリカのラップバトルが主軸で、性描写もガンガンあり、まあまあ過激な感じではあったが、お国柄のせいかガリーボーイはそれよりもグッとライトな感じだ。激しい性描写というよりはどっちかというと純愛路線だ。

比較的お子様の教育には良い方なので、ラップバトルなどに理解がある方であれば、女性にも安心しておススメできる。

概要・キャスト

監督 ゾーヤー・アクタル
プロデュース NAS
字幕監修 いとうせいこう

ランビール・シン
アーリアー・バット
シッダーント・チャトゥルベーディー
カルキ・ケクラン

2018年製作/154分/G/インド
原題:Gully Boy
配給:ツイン

記事画像参照元: http://gullyboy.jp/

「ガリーボーイ」映画感想:オグマの映画レビュー
更新情報はTwitterでお知らせ中!フォローはこちらから!

満足度:中カテゴリの最新記事