満足度:83% ひとよ 感想【ネタバレなし】

満足度:83% ひとよ 感想【ネタバレなし】

満足度:83%【ランク高】

あらすじ

タクシー会社を営む稲村家の母こはるが、日々暴力をふるい続ける夫を殺害した。最愛の3人の子どもたちの幸せのためと信じての犯行だった。こはるは子どもたちに再会を誓い、ひとり刑務所へ。運命を大きく狂わされた次男・雄二、長男・大樹、長女・園子、残された3人の兄妹は、事件のあったあの晩から、心に抱えた傷を隠しながら人生を歩んでいた。そして15年の月日が流れ、3人のもとに母こはるが帰ってきた。

家族の絆がウザったい。

本記事を書こうとして、はじめの言葉は何にしようと、色々と振り返っていたのだが、どうもうまく言葉がまとまらない。

というのも、非常に色々な感情が入り混じった作品であり、考えさせられる部分も多く、何を主題にしようか迷うのだ。

そんな時、本作に対し、スタジオジブリの鈴木敏夫さんから寄せられていたコメントを拝見した。短文だが、もうすっかり、私の気持ちを総括してくれていたので、それを引用させていただく。

それが「家族の絆がウザったい。」である。

家族って何でしょう

本作は、一言で言うと、壊れてしまった家族を修復しようとする映画になる。度を越えた暴力に明け暮れる夫を、子どもを守るために殺害した妻。良かれと思い、決心した行為だったが、結果として子どもたちは、その事件ゆえに人生がゆがんでしまう。

母を素直に受け入れられない、どうすべきかわからない状況から、再び共に暮らすことによって、どう心境が変化していくかをリアルに表現した映画だ。

家族って、面倒くさい。だけど、とても大事なもので…という逡巡が繰り返され、改めて家族について考えさせられるような映画だ。

作品のポイントは2点

本作のポイントは、個人的に2つだと思っている。

1点目は、母親を悪と断じられないことだ。

帰ってきた母親を、周囲の人々は割とすんなり受け入れる。それもこれも、殺害された夫のクズっぷりがMAXレベルであり「あれじゃあ、殺されてもしょうがないべ…」という感覚なのだ。

それは子どもたちも同様で、ただ憎めばいいだけの存在ではない。迷惑をかけられた存在ではあるが、一方で救ってくれた存在、そして「母親」でもあるのだ。その感情の複雑さが、この映画に深みを与えている。一筋縄ではいかない、人生の難しさが詰まった映画であると言えよう。

2点目は、彼らを取り巻く人々だ。

彼らを取り巻く人々も、少しずつ環境は違えど、家族に問題を抱えている人々ばかり。大なり小なり、抱えていない人などいないという表れでもあり、じつはそれがこの映画に大きく影響を与える。

「夫殺しは正しかったのか」「親と子は理解しあえないのか」などなど、主人公一家が抱える問題を、分割して割り振ったかのようになっており、別角度からの悲劇を見せることで、改めて「正しいとは何か」という問いに対して考えさせられるようになっている。

母親の罪同様、この構成も映画に深みを与える一要因になっている。

そして何といっても、俳優のレベルの高さよ

そして、この映画を実力のある俳優陣が固めることによって、さらに良いものになっている。

佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優の3名は、役を演じたというか、まるで本当の兄弟のようだった。兄弟ならでは、激しい感情でしっかりとぶつかり合い、そしてくだらない会話で笑いあう。

そして何より、母親役の田中裕子の存在感にも凄いものがあった。芯の強い、気骨溢れる母さんという感じで、普段のシーンでは、とても夫殺しをした人間には見えない。しかし、時折見せる闇の中にいるような目には、心が痛くなる。

あとは、最近奥さん役で良い味を出し続けるMEGUMIも何気に好き。笑

気が付けば、いつも白石監督に泣かされている

本作は、劇作家・桑原裕子が主宰する劇団KAKUTAの代表作らしく、それを白石監督が映画用に仕上げたものだ。(こうなると劇も観てみたいな)

気が付けば、白石監督は「凪待ち」の監督でもあったか…。本作もボロボロ涙が出るもんだから、人の少ない上映回にしといてよかった。

定期的に私を泣かせるのは本当にやめてください。ありがとうございます。笑

まとめ:観なきゃよかったと言うために、ぜひ観たい映画である。

本作は、子育て、介護など、たくさんある家族の問題に、少しでも悩む人が観るべき映画だ。必ず、少しでも心が救われるポイントがある映画だと言える。

さて、冒頭に著名人のコメントを引用させていただいたので、まとめも同じように引用させてもらおう。

糸井重里のコメントを抜粋するが、流石のキャッチ力。観ていない人に勧めるには最適だ。

「観なきゃよかったと言うために、ぜひ観たい映画である。」

概要・キャスト

公式URL: https://hitoyo-movie.jp/

監督 白石和彌
原作 桑原裕子

佐藤健
鈴木亮平
松岡茉優
田中裕子
音尾琢真丸
筒井真理子
浅利陽介
韓英恵
MEGUMI
佐々木蔵之介

2019年製作/123分/PG12/日本
配給:日活

記事画像参照元: (C)2019「ひとよ」製作委員会

「ひとよ」映画感想:オグマの映画レビュー
更新情報はTwitterでお知らせ中!フォローはこちらから!

満足度:高カテゴリの最新記事