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満足度:88% リチャード・ジュエル 感想【ネタバレなし】

満足度:88%【ランク高】

あらすじ

96年、五輪開催中のアトランタで、警備員のリチャード・ジュエルが、公園で不審なバッグを発見する。その中身は、無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾だった。多くの人々の命を救い一時は英雄視されるジュエルだったが、その裏でFBIはジュエルを第一容疑者として捜査を開始。それを現地の新聞社とテレビ局が実名報道したことで、ジュエルを取り巻く状況は一転。FBIは徹底的な捜査を行い、メディアによる連日の加熱報道で、ジュエルの人格は全国民の前で貶められていく。そんな状況に異を唱えるべく、ジュエルと旧知の弁護士ブライアントが立ち上がる。ジュエルの母ボビも息子の無実を訴え続けるが……。

本作は何故“今”作られたのか

想像してみてほしい。

貴方は毎朝、目を覚ますと同時に、テレビを付けニュースを見る。そこでは凄惨な事件が報道されており、犯人もどうやら特定されているようだ。何だか胸糞悪いことが起こっているなと、一瞬物思いにふける。

出勤する頃にはすっかり忘れているのだが、ランチでその事件について同僚と会話が盛り上がり、ついつい自分の主観的な意見を得意げに披露してしまった。その事件について詳しいわけでもないのに。

こんな一連の流れを皆さんも経験したことはないだろうか。きっと大なり小なりあるはずだ。

しかし、もし正しいと思っていた情報が「間違って」いたら、皆さんはどう思うだろうか。なんの罪もない人間を、私たちは好き勝手に、娯楽感覚でバッシングしていたのだ。

本作は、そういった情報の危険性を取り扱った、実話を基にした傑作である。

とても分かりやすいテーマ性

本作は誤情報によるメディアリンチと、捜査機関による決めつけ捜査という二重の問題点が題材となっている。

一つの報道が、雪崩のようにあらゆるものを巻き込み、山火事のように広がっていくのだが、それはSNSが発達した現代においてはもっと広がりやすい環境にあるだろう。

監督を務めたクリント・イーストウッドは、その便利さ・楽しさの裏に潜む“危険性”に警鐘を鳴らす。

己が目にする情報が、必ずしも正しいとは限らない。自分の顔を見せず、実名でなかろうが、相手を蔑む行為に変わりはない。インターネット世界の片隅で自己満足しているような、しょぼい我が映画レビューサイトであっても、そういう点には気を付けなければならない。

全体を通じて、漂う緊張感

あっという間に火が広がり、手が付けられなくなっていく様の描き方はお見事。実話を基にしているだけあり、人物描写を含めたあらゆるものがリアルだ。

随所に罠を仕掛けてくる捜査員、ひょっとしたら自分の身にも起こるかもしれないという恐怖感、どうやったら逆転できるのかイメージできない無力感など、本作はリアリティのあるドラマが好きな人には、とても相性が良い映画だと思う。

クリント・イーストウッドの元に、名優あり

また、今回も出演する俳優陣のすばらしさが際立っていた。主人公のリチャード・ジュエル役のポール・ウォルター・ハウザー、弁護士のブライアント役にサム・ロックウェルと、皆さん本当にはまり役だった。

しかし、そんな俳優陣の中で最も感情を揺さぶられたのは、母親役のキャシー・ベイツであった。まさに母親そのもので、実際の現場に居たかのような反応、涙の演技は完璧だった。

クリント・イーストウッドの俳優起用が上手なのか、教えるのが上手なのか、はたまたそういう人が自然と集まってくるのかは分からないが、さも当然のように俳優陣は高レベルだった。

まとめ:持つべきものは友

本作の主人公リチャード・ジュエルは、実際の事件の際、どんなに恐ろしかっただろうか。己の犯していない罪で、ありとあらゆる人からバッシングを受け続ける生活など、容易には想像できない。

彼が幸運だったことは、何よりも弁護士のブライアントが居てくれたことだ。ブライアントが自分を信じてくれた時、そして「クソどもをやっつけよう」と言ってくれた時、どんなに彼は嬉しかっただろうか。

友との共闘の果て、どんな結末を迎えたのかは、皆さんの目で確かめた方が良いだろう。

持つべきものは、友である。

概要・キャスト

公式URL: http://wwws.warnerbros.co.jp/richard-jewelljp/index.html

監督:クリント・イーストウッド

ポール・ウォルター・ハウザー
サム・ロックウェル
キャシー・ベイツ
ジョン・ハム
オリビア・ワイルド
ニナ・アリアンダ
イアン・ゴメス

2019年製作/131分/アメリカ
原題:Richard Jewell
配給:ワーナー・ブラザース映画

記事画像参照元: (C)2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

「リチャード・ジュエル」映画感想:オグマの映画レビュー
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