満足度:52%【ランク中】
あらすじ
26歳OLの桃瀬成海は、転職先の会社で幼なじみの二藤宏嵩と再会する。ルックスが良く仕事もできる宏嵩は、実は重度のゲームヲタク。そして成海もまた、マンガやゲーム、コスプレ、そして何よりBLを愛する腐女子だった。周囲にヲタクだとバレる「ヲタバレ」を恐れている成海は、普段は本性を隠している「隠れ腐女子」だったが、ヲタク仲間の宏嵩の前では本当の自分をさらけ出すことができた。やがて、ヲタク同士ならば快適に付き合えるのではないかという宏嵩の提案もあり、2人は付き合うことになるのだが……。
カタギの人間なら楽しめる

私は原作は7巻くらいまで既読での鑑賞。そのため、原作を知る立場としての意見もある程度できると思うが、一言で言うと本作は、原作ファンに向けては作られていないということを感じた。
どちらかというと、微妙なミュージカル要素をぶっこんできたあたり、オタクを割と上から見つつ、微笑ましく楽しむような、カタギの人間向けの映画になっている。
そのため、山崎賢人のスーツ姿がカッコいいとか、高畑充希のオタぶりが可愛いとか、佐藤二朗とムロツヨシっておもしろいなーとか、そういうのが単純に楽しめる層であれば、本作はまあまあ楽しめるであろう。
個人的には笑えるシーンは多々あったため、コメディとしては及第点をあげられるものの、ラブストーリーとしては赤点、原作ファンの満足度としては落第、という感じかと思う。
ちなみに、原作はラブコメとして気楽に楽しめる良い作品だと思っている。
必ずしも原作に忠実でなくて良いのだが、これはなあ…。

私は、面白ければ原作に忠実でなくても良い、と思っているタイプの人間である。そもそも、小説だろうがマンガだろうが、それぞれの媒体特徴・情報量での完成度を高めているわけであり、映画に必ずしも原作が合うとは限らないからだ。
しかし、それが許されるのは原作よりも「面白かった」、かつ原作への愛が感じられる、という2つの必須条件をクリアした場合のみである。最近で言うと、それを実行できたのは「翔んで埼玉」くらいではなかろうか。
原作と異なる部分で気になった一つは、宏嵩の思考力である。
本作を観ていると、宏嵩はそんなに馬鹿じゃないだろう…と言いたくなる。彼はジャンルの住み分けやオタク同士の分別など、とうの昔に理解しきっている人間のため、本作での行動に違和感しかない。正直、脚本・制作側がオタクを理解しきれていない部分がある。
オタクのコレジャナイ感。もっとヲタヲタすべきだった。

と、いうことで、観る前から何となく察してはいたものの、オタク要素はライトな感じの、素人目線な作品であることは言っておこう。
原作は、アニメ・BL・コミケ・ゲーム・コスプレあたりが割と主軸なのだが、本作では声優やドルオタなども一括りにされている。
特に声優オタは本作後半のキーとして使われるが、何とも内容が薄っぺらい。「これを出しときゃオタクっぽいだろwww」という心の声が聞こえてきそうだ…。
また、ミュージカル調を入れてくると聞いたものだから、てっきりもっとアニソンか、それに類似するような曲を入れてくるかと思いきや、ラ・ラ・ランド的な曲調(これも中途半端だけど)ばかりで、しかも長い。
オタクの生態を楽しむための映画なのだから、もっとヲタ要素は詰め込むべきだったのではなかろうか。その方がカタギにもウケたと思うのだが…。
高畑充希はおk。

高畑充希の、腐女子的な演技と絶妙な可愛さのバランスは個人的に良かった。腐女子界隈でたまに見かける、SSRな可愛さの女子具合が何とか保てていた。(周囲も可愛い子が揃うのは微妙かなと思ったけど)
また、樺倉先輩役の斎藤工は、正直顔が良すぎてコレジャナイ感半端なかったが、顔芸が素晴らしすぎたのでそれはそれで良かった。
福田監督は、そろそろあの二人を使わない方が良いのでは。
佐藤二朗、ムロツヨシは非常に好きだし、勇者ヨシヒコなんて終始ニヤニヤしながら見ていた私だが、さすがにこの二人を、同じようなキャラで使い続けるのはそろそろ止めたほうが良いんじゃないかと思う。
正直、アクが強すぎて作品の色をぶち壊してしまう時が多々ある。本作はまだカラーが合っていたので良かったものの、使いどころは慎重にお願いしたい。
あと、賀来賢人の顔芸も面白かったけど、ちょっと見飽きてきたな…。
まとめ:むしろ原作ファンは観なくてよろし

まあ、確かにラブコメものとしては笑えるところは多かった。劇場内で笑い声が出てきたのも確かではある。
しかし、上記のように、本作は商業的な面がかなり見えるため、原作ファンはそこまで期待していくほどではない。
カップルでお昼ごはん前くらいに行くのがちょうどいい映画かなと思う。(なぜなら、たぶん感想戦もランチの時間くらいで終わるから…)
概要・キャスト
公式URL: https://wotakoi-movie.com/
監督 福田雄一
原作 ふじた
高畑充希
山崎賢人
菜々緒
賀来賢人
今田美桜
若月佑美
ムロツヨシ
佐藤二朗
斎藤工
2020年製作/114分/G/日本
配給:東宝
記事画像参照元: (C)2020映画「ヲタクに恋は難しい」製作委員会
(C)ふじた/一迅社
「映画 ヲタクに恋は難しい」映画感想:オグマの映画レビュー
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