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満足度:78% ジュディ 虹の彼方に 感想【ネタバレなし】

満足度:78%【ランク高】

あらすじ

1968年。かつてミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨したジュディは、度重なる遅刻や無断欠勤によって映画出演のオファーが途絶え、巡業ショーで生計を立てる日々を送っていた。住む家もなく借金も膨らむばかりの彼女は、幼い娘や息子との幸せな生活のため、起死回生をかけてロンドン公演へと旅立つ。

伝説の大スター「ジュディ・ガーランド」を知る

本作を観る前までは、お恥ずかしながらジュディ・ガーランドはほぼ知らなかった。というか、私でなくとも30代の人間はほぼ知らないのではないだろうか。「オズの魔法使」「オーバー・ザ・レインボー」という、ポイントだけ知っていて、顔も全く浮かんでこないレベルで鑑賞に行った。

しかし映画を鑑賞し、色々と調べているうちに、これほどに素晴らしい大スターだったのかと感服した。

アカデミー賞主演女優賞ノミネート(しかも本命だったらしい)、ゴールデン・グローブ賞主演女優賞受賞、グラミー賞受賞、彼女が歌うオーバー・ザ・レインボーは全米レコード協会等が2001年に主催した 「20世紀の名曲」 投票で第1位に選出されるなど、まさにスターとしか言いようがない功績を残している。

ちなみに、このサイトが良くまとまっていてわかりやすかった。
http://cinepara.iinaa.net/Judy_Garland.html

まだ娯楽やメディアの少ない戦前からスターとして活躍していた彼女は、この功績以上に人々の心に希望を与えていたのだろうと容易に想像できる。

そして、その大スターの晩年を描いたのが本作であるが、鑑賞中ずっと考えていた。なぜ、晩年を切り取った映画なのだろうと。

なぜ、晩年を切り取った映画なのか

伝記映画は、非常に構成が難しい映画だ。波乱万丈のスターの人生を全て撮影しようと思ったら、とてもじゃないが2時間では足りない。最盛期に合わせるのか、はたまたその晩年を切り取るのかなど、構成がとても重要になってくる。

そして本作では晩年を切り取りつつ、スターである自分を作り上げた子役時代を、フラッシュバックのように想起させる手法をとったわけだが、彼女のファンはもっと他にやってほしい時期があったのではと思う。

例えば、所属事務所を解雇され、見事に復活し、そしてアカデミー賞を劇的に“逃した”「スタア誕生」の時期などだ。復活劇に焦点をあてるのは、伝記ものでもよくある手法で、一昨年話題になった「ボヘミアン・ラプソディ」もこの復活劇を取り上げて大ヒットしている。

しかし、鑑賞後に私が考えるのは、この晩年こそ、彼女が生涯における“答え”を見出した時期だったであろうこと。そして、制作陣は彼女を語るうえで、それこそを取り上げたかったのではないか、ということだ。

子役時代の彼女は、現代であれば虐待に当たるようなレベルで、奴隷のように働かされていた。その体験が体を蝕んでいるのだが、スターとしての己を作ったのも、その時期があるからとも言える。

決して穏やかではない人生で、自分が本当に拠り所にしていたもの、本当に必要だったものを、本作のラストで彼女は見出している。だからこそ、ジュディ・ガーランドは永遠のスターなのだと、そう脚本から伝わってくるような、そんな気がしている。

構成は上手だが、もう少し強めのアクセントが欲しかった

改めて振り返ると、本作はラストに向けて作られている。晩年の1年程度を、時間的に無理のない構成で、綺麗にまとまっている。

しかし、音楽的要素なのか、何なのか具体的に言えないのだが、鑑賞後に少々物足りない感覚に陥ったのも確かだ。

近年の伝記ものは「ボヘミアン・ラプソディ」と比べられて本当にかわいそうだと思うのだが、やはりあの映画に比べると何かが足りない。

熱量なのか、劇的な演出なのかわからないが、もう少し爆発どこかにあれば、もっと本作の評判は高かったかもしれない。

アカデミー賞女優って、すげえ

レネー・ゼルウィガーは、ジュディの役作りに1年以上かけているそうだ。元々ファンでもあったらしく、彼女の訛りや癖などを完コピしている。

その様相はまさに、ジュディが憑依したよう。愛想を振りまくが、スターとしての仮面を外“せ”ないジュディの表情など、その心情が汲み取れるようで、観ていて心底感服した。

ただ、これはもうしょうがないのだが、本作では歌もレネーが歌っており、歌唱力自体も半端ない。素晴らしいパフォーマンスだった。しかし、ジュディ・ガーランドのCDなどを聴いていると、正直そこには明確に開きがあることがわかる。

13歳で「歌唱力」が認められてスターの仲間入りをし、その生涯を通じて、歌とパフォーマンスで人々を魅了し続けたジュディの代わりなど、誰にも務まらない。

本作を鑑賞後、無性に彼女のアルバムが聞きたくなるのは、私だけではないはずだ。

まとめ:最後に、涙が零れ落ちる

少々物足りないと言ってみたものの、ラストは彼女の心情と演出とが相まって涙がこぼれてくる。

欲を言えば、あっさり終わってしまったので、もう少しその余韻に浸らせてほしかった。

レネー・ゼルウィガーに頼り過ぎている感じはあるが、基本的に良くできた映画であり、劇場で観て公開することは無いだろう。

おまけ: 個人的に聞いて良かったアルバム

また、鑑賞後にアップルミュージックを漁ってジュディの曲を聴きまくっていたが、どうやらこれが一番よさそうだ。

カーネギーホールでの伝説的ライブを収録したCDであり、ファンの皆さんからも評価が高いものであるようだ。聴いてみるとわかるが、この歌唱力は尋常ではない。拍手がいつまでも鳴りやまないのだから、どれだけ凄いパフォーマーだったかがわかる。

概要・キャスト

URL: https://gaga.ne.jp/judy/

2019年製作/118分/G/イギリス
原題:Judy
配給:ギャガ

監督
ルパート・グールド

レネー・ゼルウィガー
ジェシー・バックリー
フィン・ウィットロック
ルーファス・シーウェル
マイケル・ガンボン

記事画像参照元:(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

「ジュディ 虹の彼方に」映画感想:オグマの映画レビュー
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