満足度:80%【ランク高】
あらすじ
妻に先立たれてから1年。娘の美紀と再出発を決意した健一。“なんにも思い通りにならない”―――。仕事と育児の両立に悩みながらも、ゆっくりと成長していく姿は、忙しい現代社会で、自分自身の大切なものを見失わないように懸命に生きる全ての人の心を刺激する。
世の男性が全員観るべき映画

私は現在独身であるため「子育て」に対して、リアルな想像ができる立場ではない。しかし、本作のような子育ての苦悩を描くような作品に出会うと、本当に世の父母に敬意の念を払いたくなる。
特に本作は、妻に先立たれたシングルファーザーが、ワンオペ育児を選択した映画であり、余計に子育ての大変さが際立っている。
子育てをしたことが無い人間は、子育ては大変だと頭ではわかっているものの、具体的にどんなことが大変で、どんな悩みが出るものなのかわからない。
本作はその大変さや葛藤をリアルに描いており、俳優陣の演技も相まってかなり感情面からも理解しやすいように作られている。独身者としては非常にためになる映画でもある。
また、育児を奥さんにまかせっきりにしているような旦那をはじめとした、世の男性こそ勉強のために観るべき映画だ。
なんかもう序盤から涙腺が崩壊しかける

「山田孝之がシングルファーザーを演じる」という、その字面だけでもう最終的な涙腺崩壊は確定しているようなものだが、本作はもう序盤からなんか泣きそうになっている自分が居た。
「奥さんが亡くなって、再出発を決意したシーン」「義父母が死ぬほどやさしいシーン」「娘が○○を頭ではわかっているが、心が拒絶してしまうシーン」などなど、随所にちょくちょく涙腺が緩むシーンが用意されており、まるでマラソンの給水所のように定期的に訪れる。
独身の私でこうなのだから、子育て真っ最中の方々はもっと感情移入できるのではなかろうか。知らない間に涙が流れていたよ…。
展開のテンポは速め。余白を想像するのも楽しい。

原作小説のボリュームを2時間にまとめるのは、かなりしんどい作業だろう。本作も良く言えばテンポが速い、悪く言えば急に展開が進んでいる、という印象を持った。
しかし、それで不満に思うところは特になかった。
というのも、本作は「何章」というように、全体をチャプター分けしている。章ごとの展開は急激に進むものの、それぞれの章自体はじっくり描いているため、混乱したりすることも無ければ、感情移入しにくい、ということもない。
むしろ、その空白の期間に起こったことを、余白として上手く活用しており、鑑賞する者に想像させるような使い方をしている。その点は非常に上手いなと思った。
3月に鑑賞した「弥生、三月」は正直そのあたりの構成が失敗しているな、と思ったものだが、本作はそんなことは無く、綺麗にまとまっていたので安心して頂きたい。
俳優陣が全員素晴らしすぎる

さも当たり前のようにハイレベルな演技をする山田孝之は圧巻。特に、目と表情だけでその時何を思っているか大体わかるというのが凄い。他映画のエクセントリックな配役に目を奪われがちだが、シンプルに地の演技力が凄いと再確認した。
3名の娘役の子役さんも良かったが、本作のMVPは義父役の國村隼さんだろう。シングルファーザーを題材とした映画だからか、同じ父親目線でのアドバイスや心配事が非常にナチュラルである。
ラストにかけても、非常に重要な役どころであり、ベテランならではのどっしりとした演技を見せつけた。
広末涼子など、他の俳優陣も全員ベストな配役だったが、特にこの二人は素晴らしかった。
まとめ:映画として綺麗にまとまっている。涙活したい方におすすめ。

出てくる人物全員が本当に良い人々ばかりなので、純粋に人の良い部分に触れる映画で泣きたい方におすすめの作品だ。
というか、本作の場合は純粋に予告編を見て「あ、良さそう」と思ったら行けばよい映画だ。予告編の雰囲気そのままの感動が味わえるため、涙活希望の方にちょうど良い。
概要・キャスト
公式URL:https://step-movie.jp/
監督 飯塚健
原作 重松清
山田孝之
田中里念
白鳥玉季
中野翠咲
伊藤沙莉
川栄李奈
岩松了
日高七海
角田晃広
片岡礼子
広末涼子
余貴美子
國村隼
2020年製作/118分/G/日本
配給:エイベックス・ピクチャーズ
記事画像参照元:(C)2020映画「ステップ」製作委員会
「ステップ」映画感想:オグマの映画レビュー
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