はじめての方はこちら

満足度:60% 天外門 感想 【ネタバレなし】

満足度:60%【ランク中】

あらすじ

江戸末期、ペリー来航に衝撃を受ける日本。新たな時代の到来を察知した青年武士・五代才助(後の友厚)は、攘夷か開国かの内輪揉めには目もくれず、世界に目を向けていた。そんな中、遊女はるとの出会いから「自由な夢を見たい」との思いに駆られた彼は、誰もが夢見ることのできる国をつくるため、坂本龍馬、岩崎弥太郎、伊藤博文らと志を共にする。

映画.comより引用

三浦春馬氏に哀悼の意を表して

私が言うまでもなくご存知の方も多いだろうが、本作は急逝された三浦春馬氏の遺作である。芝居に人一倍厳しかった彼の遺作だからこそ、映画好きとして真剣な感想をお伝えしたい。

その前置きをした上で敢えて言うが、役者の演技以外はそんなに良いと思える映画ではなかった。

五代友厚の伝記が大前提であるにも関わらず、三浦春馬氏を魅せることに終始しすぎており、五代氏の経歴はイマイチ伝わってこない伝記映画(?)になっている。

役者の熱量に構成と演出が追い付いていない

三浦春馬氏の演技は素晴らしかった。端正な顔立ちをくしゃくしゃにして、薩摩弁(で合ってる?)を喋る、その鬼気迫る表情は圧巻であった。

ただ、それに対して構成と演出が全く追い付いていない。演出はドラマ仕立ての大げさな演出であり、映画のそれではない。観客が大スクリーンで集中して観る映画にそこまでの過剰な演技は不要だ。

また、もっと意図が透けて見えたのは、作品の構成だ。三浦春馬氏を起用できたせいか、作品の大部分が若いころの話になっている。大立ち回りの時間が多く取られていることからも、明らかに娯楽的要素が強い。

五代友厚の功績は「友厚」と名前を変えてからが本領発揮であろうに、五代友厚が何を為したかの描写が少ないまま、人間関係や逸話のみを取り上げる為、最終的にどうして五代友厚がここまで評価される人物になっているのか、まるで分らない。

観た人にぜひ「五代友厚」は何をした人?と、聞いてみて頂きたい。恐らくほとんどの人が、良くわからないままであろう。彼が大阪、ひいては日本の商業に与えた功績を理解しないまま映画が終わっている。

伝記映画としてはいかがなものかなぁと、思わずにはいられない。

面白さをとるなら選択と集中が必要

そもそも人の人生を、しかも歴史の教科書に載るような人物の人生を2時間やそこらで描き切ることが土台無理なのである。

伝記もので本当に面白い映画を作るのであれば、その人の人生において、どこを取り上げるべきか焦点を絞り、深掘りを行うことが必要なのだ。

フレディを取り上げた「ボヘミアンラプソディ」が、Queen復活のLIVEに向けて全てを集約させたように、ジュディ・ガーランドを取り上げた「ジュディ」が晩年の彼女を描いたように、テーマを絞らないと伝記ものは基本的に失敗する印象にある。

それを描き切ることで、面白い映画ができれば、結果として功績や認知度は広く知れ渡る。本作は、若いころに集中したと言えば聞こえは良いが、いわば「下積み」時代をたくさん取り上げていたのだから、本質がずれていると言わざるを得ない。

作品全体のチープさは否めない

本作はエンドロールにおけるスポンサーの多さから、恐らく商工会議所などが主体となり、地域おこしの一環で作られた映画であろうことから、予算自体は多くないはずだ。

その気持ちを汲み取りたいところだが、映画ファンとして作品全体を観ればところどころにチープさが垣間見える。

・年を取らない五代友厚 ・船上がほとんど見えない ・テーマ曲がチープ など、上げればきりがない。

など、作品のクオリティは日本のドラマスペシャルと同じくらいなので映画を見に行く、という感覚ではいかない方が良い。

良かったのは、実際のグラバー邸を使って撮影されていた部分くらいだが、もちろんそれは日々メンテをされているグラバー園の方々のおかげである。

まとめ:期待された映画であり、熱量は伝わるが完成度は低い

ファンの熱量、また必死に製作費を集めたであろうスポンサー側の熱意も見え隠れするため、あまりバッサリと言いたくないところだが、ひとつの映画作品として観たとき、作品としては評価を低くせざるを得ない。

良い素材がたくさん揃っていただけに、残念である。

ただ、三浦春馬氏の演技は素晴らしかった。それを見届けるためだけに行っても価値はある映画だ。映画の楽しみ方は、人それぞれなのだから。

概要・キャスト

公式サイト:https://tengaramon-movie.com/

監督 田中光敏
脚本 小松江里子
製作総指揮 廣田稔

三浦春馬
三浦翔平
西川貴教
森永悠希
森川葵
迫田孝也
宅間孝行

2020年製作/109分/G/日本
配給:ギグリーボックス

記事画像参照元:(C)2020「五代友厚」製作委員会

劇場版「天外門」 映画感想:オグマの映画レビュー
更新情報はTwitterでお知らせ中!フォローはこちらから!

記事が面白かったらシェアしてね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です